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獣人少女 前半

Author: イコ
last update publish date: 2026-08-01 21:28:36

《sideジュリア》

 ボクの世界は、とても冷たくて暗いものだった。獣人は強さを重んじる。強い者が族長になり、強い者が決めたルールのもとで生活をする。

 強いオスはメスを自由にできて、弱いオスはただの労働者としてこき使われる。

 ボクの父は弱いオスで、母が別のオスに蹂躙されても守ることができず、ボクを奴隷として売り飛ばした。

 だからボクは強くなりたくて、自分のことをボクと言うようになった。

 最初は子供だったこともあり、体を無理やり求められることはなかった。だけど、学園都市という獣人王国から遠い場所に連れてこられて、成長を始めたボクをメスとして売ろうとしている奴隷商人がいた。

 怖い。嫌だ。だから必死に逃げた。

 ボクは、どうしてこんなにも弱いんだ。

 隠れて、逃げて、でもお腹が空いて、誰も助けてくれなくて……。悪いことだとわかっていたけど、捨てられたゴミをあさるだけでは足りなくて、食堂の料理を食い逃げした。

 身なりが汚いから正面から入らずに裏から入り、できた料理を盗んだ。

 だけど、すぐにバレて追いかけられた。

 追い詰められた時には、もう駄目だと思った。

「謝りに行こう。
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  • お気楽公爵家の次男に転生したので、適当なことを言っていたら英雄扱いされてしまった。   親しい人が訪ねてきたよ

     《side フライ・エルトール》 クラウン・バトルロイヤルが幕を閉じた翌朝。 どんよりとした空模様を眺めながら、私は少し重い頭を抱えていた。 昨日の盛り上がりは楽しかったけど、どうにも飲みすぎたらしい。そんな中、エリザベートが妙に落ち着かない様子でやってきた。「フライ様、お客様がお見えです」「ん……お客様?」 朝一番に誰が来たのかと思いながら、私は面倒くさそうに椅子から立ち上がった。 そして、応接間に向かうと、そこにいたのは……。「エリック兄上?!」 応接間にいたのは、整った顔立ちと冷静な佇まいを持つエリック・エルトール兄上だった。「久しぶりだな、フライ」 エリック兄上は微笑を浮かべながら私を見つめている。その穏やかな表情に、思わず肩の力が抜けた。「まさか、兄上がここに来るとは思わなかったよ。クラウン・バトルロイヤルの観戦にでも来たのかい?」「そんな暇はないさ。ただ、少し興味深い情報を耳にしてね。確認する必要があったんだ」 興味深い情報? 私は首を傾げながら、彼の言葉を促す。「何の話だい?」 エリック兄上は一歩前に出て、周囲を見渡した後、小声で続けた。「魔塔の近辺で、不審な集団が目撃された。どこの国の者かは分からないが、帝国でも問題視されているようだね。その調査に来たんだ」「魔塔の近くに現れた不審な集団を、帝国も問題視している?」 魔塔――古代の遺物とも言われるその巨大な建造物は、魔導師たちの研究機関であり、古代の建造物として潤沢な魔力を含んでいる。 そのため、突如として魔物が出現することもあり、実はダンジョンなんじゃないかと私は思っている。 この世界には、ダンジョンという概念が存在していないに等しい。 迷宮と呼ばれる地下施設や、魔塔のような怪しい場所は存在するが、時折その周辺で奇妙な動きがあるという噂が立つ程度だ。 だが、それは魔塔の問

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